2000年、日蘭交流400周年を記念して、大阪・天王寺で特別展覧会が行われました。
それが『フェルメールとその時代』展です。
この展覧会は日本では大阪市立美術館でのみ行われ(オランダ・アメリカでも開催)、しかも
5点ものフェルメールの代表作が各美術館から貸し出され一堂に会するものであったため、
日本中のファンを集めたそうです。
・・・とそんなことを知ったのは、
「どうやら門外不出だった絵が来るらしい」とだけ聞いてノコノコ出かけ
(ヤジウマですね;)、
ブツブツ言いながら1~2時間待ち、ようやく人の波に押されつつも、
ド根性で最前列まで行って、ハハ~、コレはスゴイですね!と知らない人同士感心し合い、
ふぅっと疲れて帰ってきてから、TVの「●曜美術館」を見て、のことです。
それまで恥ずかしながらフェルメールの名前すら知りませんでした。
その特別展で、人の波がとりわけ
盛り上がっていたのが、
「 真珠の耳飾りの少女 」でした。
一目瞭然に他と違う絵だと分かりました。
静かで地味なフェルメールの作品の中で、
最もすっきりとした画面であり、
なのに人目を引き付ける内面の
ドラマがありました。
(写真:映画のチラシ裏面とパンフ)
そのドラマをやはり静かに描き出した映画が『真珠の耳飾りの少女』です。
どこで切っても絵になるという具合で、見事な時代考証に驚きの連続でした。
・・・あの通りを歩く男性の帽子はレンブラントが好んでかぶっていたものだ!とか、
・・・フェルメールの息子が、レンブラントが描いた自分の息子の絵にソックリ!とか、
・・・あの橋がかかった運河沿いを松明が照らしていた絵が確かにあった!とか。
そして一番驚いたのがフェルメールのアトリエ。
観たとたんに息を飲みました。
一つは、フェルメールの絵によく登場する部屋の再現に驚いて。
もう一つの理由は、あまりにタイミングが良すぎて(これについては後ほど)。
流れる絵のようなシーンを横糸に、オランダのバブリーな17世紀の貧富の差、
富裕層と使用人の関係などの社会背景が縦糸となりストーリーが織り込まれていきます。
感受性が鋭い少女グリート(原作の小説ではフリート)が奉公に出る、フェルメール家。
使用人の間でかわされるフェルメール家についての会話、
フェルメール家の大人たちの思惑や子供の意地悪からくる感情のもつれ、
フェルメール家が頭の上がらないパトロンのゴシップ。
これだけの登場人物のエピソードを持たせて、
なぜ少女は真珠の耳飾をつけ、青いターバンを巻き、画家の前に立ったかが分かった瞬間、
スカーレット・ヨハンソンが、あの「真珠の耳飾りの少女」と同じに見えて身震いしました。
この映画の魅力は、映像とストーリーだけでなく、
寡黙な登場人物たちの心情を物語る音楽にもあると思いました。
ちなみに、この映画を観た
「シネ・リーブル梅田」は、
梅田スカイビルの3Fにあるんですよ。
ね、このまえご紹介しましたでしょ?
→
コチラ!
(写真:映画館の前のポスター。
一番左は予告編でとても惹かれた
「天国の青い蝶」という作品)
* hanipyon2さん(あきさん)の「
心の旅」の「
真珠の耳飾りの少女」にトラバいたしました。
* 『真珠の首飾りの少女』の
絵画についての情報 →
美の巨人たちHP該当ページ
* 『真珠の首飾りの少女』の
映画についての情報 →
GAGAの専用HP